★歯列矯正総集編★


 当HP掲示板、ヴォイスアクターエッグスQ&Aには歯列矯正についての質問が数多く寄せられています。
 このコーナーでは矯正そのもの正しい知識は他HPに任せ、俳優・声優志望者向けの矯正についてまとめました。


歯列矯正ワンポイントQ&A

1.どんな場合に矯正をするか?

 志望者の全てが歯列矯正をしなければいけないわけではありません。歯列が正常で滑舌(調音・発音)に問題がなければ矯正はしないで済みます。
 が、現実的には、歯列異常により、滑舌のレベルが酷い人が数多くいます。あくまでも私見ですが、志望者のうち3割近くが歯列を原因とする発音異常を抱えているようです。

2.歯列異常によって苦手となる音は?

 特に目立つのがサ行・タ行。サ・シ・ス・セ・ソがシャ・シィ・シュ・シェ・ショと音漏れしたようになったり、タ・チ・ツ・テ・トテァ・ティ・トゥ・トェ・トォのように滑ったりします。程度によりますが、その他の音にも問題が発生する場合もあります。

3.歯列矯正をすれば、必ず滑舌は良くなるの?

 歯列矯正が終了しても、自主練習を重ねなければ滑舌は良くなりません。

4.歯列矯正中の滑舌練習は?

 たとえ、ワイヤーをかけた状態であっても、滑舌練習はしてください。ハッキリいって辛いですよ。ワイヤーが頬の内側の肉に引っかかり、口の中を血だらけにすることを覚悟してください。滑舌は舌の動きだけではなく、唇・表情筋まで併せた総合運動です。痛いからといって練習しなければ、絶対に滑舌は良くなりません。

5.矯正期間中、プロダクションに残れますか?

 矯正期間中は、プロダクションには残れません。

6.要矯正者が養成所選びで考慮しておくことは?

 短期間(1年以内)で振るい落としにかける養成所はやめておきましょう。矯正期間中であっても勉強できる育て系(2〜3年制)の養成所を選びましょう。

7.矯正費用はどれぐらいかかりますか?

 その人の程度によります。軽度は30万円から、果ては100万円超という場合もあります。平均的には60万円〜80万円といったところでしょう。金融機関によってはデンタル・ローンなどもありますから、自分でもイロイロと調べてみましょう。

8.矯正期間はどれぐらいかかりますか?

 その人の程度によります。短い場合は18ヶ月から、60ヶ月になる場合もあります。平均的に36ヶ月はかかるようです。なるべく早いうち(中高生)から始めると、矯正期間も短く済むようです。

9.歯列異常と顎関節異常のダブルパンチは?

 歯列矯正をすると直る顎関節異常もあるようですが、程度によっては口腔外科のある大学病院にかかったほうがいいかもしれません。顎関節の外科手術が必要になった場合、治療費の総額は200万円に達するケースもあるようです。

10.矯正医選びのポイントは?

 まず、3軒以上の歯科医をまわってみて、よく相談してみてください。歯科医によって、説明の仕方も、料金が違うようです(高ければイイというものでもありません)。矯正は数年がかりの長期的なものですから、ちゃんと相談できるお医者さんにお願いするのがいいでしょう。



 
歯列矯正リンク集

 

新潟大学歯学部附属病院矯正歯科外来

 チョーおすすめ。歯列矯正についての基礎知識がムービーで勉強できます。

日本矯正歯科学会ホームページ

 歯列矯正の基礎知識コーナー。出っ歯(上顎前突)、受け口(反対咬合)、八重歯・乱ぐい歯(叢生)、開咬、手術が必要な顎変形症の矯正前・矯正後の写真があります。

日本矯正歯科医会ホームページ

 歯列矯正の基礎的なQ&Aがあります。

矯正歯科専門店街

 歯科矯正関連の総合リンク集。公的団体・大学・医院から患者までリンクしています。

健康医療介護情報サービス Mediscope

 医療関連全般の総合サイト。

日本医療相談センター JAMEC

 掲示板の応答形式で医師に医療相談ができる。

国税庁 タックスアンサー

 歯列矯正でも、医療控除を受けられる場合があります。こちらで調べてください。



審美歯科について

 1990年代末から、数ヶ月という短期間で歯列矯正を可能とする「審美歯科」が流行してきました。私も何人かから審美歯科について相談を受けましたが、残念ながらデータが少なすぎてよくわからないというのが現実です。
 そこで某医科歯科大学教授(歯学博士)に解説をお願いしたところ、匿名を条件に解説を承諾してくれました。参考までにどうぞ。(一部、過激な表現については、安達が編集しております‥‥‥)

●匿名歯学博士からのアドバイス●

 まず、現行の歯科医学には「審美歯科」という学問はありません。
 美容外科と同じ範疇に類しますので、保険は一切きかず、費用も高いところが多く、中には相談料を請求されることもあるようです。
(注・全てがそうだというわけではありません)
 審美歯科に対し、一般矯正(従来からの歯科医による矯正)は百年近い歴史を持つ学問であり、大学でも正規授業として講義・歴史が行われています。
 一般矯正では基本的にワイヤー等を使って、歯や顎に負担がかからないようにゆっくりと矯正するのが原則です。最近は目立たないように白いブラケットや歯の裏側にワイヤーをつける方法もあります。
 審美歯科で早く治療することを要求した場合、ワイヤーをかけずに曲がってる歯を削ってしまったり、その歯髄(歯の神経)を抜いてメタルボンド(いわゆる差し歯)を入れるなどが考えられます。歯の表面に貼り付けるという方式もありますが、歯根から曲がってる歯には効かないでしょう(安達注・滑舌も良くなりません)。
 神経を抜いて差し歯にした場合、外からの見た目はきれいに見えても、歯の根っこは曲がっているので、非常に不自然な力がかかることになります。多少曲がっているからと、正常な歯髄を除去して、人工物を埋め込むというのは、医学的には問題があります。その結果は、全て患者の自己責任です。40才で総入れ歯になったり、顎関節症になる危険性をはらんでいます。
 また、審美歯科には、症例報告(経過報告)がほとんどありません。そのため、10年後にはどうなってるかは、まだ想像がつかない部分もあります。顎関節症の危険性や、化膿して顎骨ガンになる危険性がゼロとはいえません。
 対して一般矯正は、歴史に基づいた症例があり、もし、副作用がでたとしてもその対処法も確定されています。
 時間がかかっても安全性が確立されている一般矯正を選ぶか、時間はかからないが危険性もはらむ審美歯科矯正を選ぶかは、患者の自己責任における判断であることをご承知下さい。

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 原文は、もっと過激なことが書かれていました。ホント、あとは本人次第。自分で決めましょう。


 

【安達成彦より】

声優・俳優志望者の歯列矯正(総論)

 まずは結論。
『歯列異常者は、矯正をしなければ、最終的には声優になれない』
 さて、この大前提を元に‥‥‥

 歯列矯正には18ヶ月〜36ヶ月かかります。人によっては、矯正終了を待っているうちにタイムオーバーになることもありますし、在学中に矯正終了する場合もあります。
 つまり、まず、どこに勉強に行くのかが問題になるわけですよ。矯正中では、どんなプロダクションにも残ることはできませんからね。ただ、矯正が済むのを待っていると、スタートが遅くなってしまいますので、まずは矯正しながら2〜3年制の育てる養成所に行くのがいいでしょうね。
 矯正中に滑舌練習をすると、しゃべりにくくなるどころか、口内が切れて血だらけになるようです。が、これはもう、しょうがないことです。口内をズタズタに切り裂いてでも滑舌を頑張るしかありません。
 養成所や学校に入ってから、矯正を始めた人は沢山いますよ。歯列異常者は、とにもかくにも、矯正するしかないんです。

 以前、私の教え子が、プロダクション附属養成所の同期を連れてきたことがありました。
 年齢25歳、修行歴5年。でも、歯がガチャガチャなんです。かなり酷い歯列だし、すぐに矯正を始めたとしても歯列成長が終わってる年齢でしたから、確実に3年超コース。
 可哀想ですが、「諦めなさい」と言うしかありませんでした。
 声優になるための勉強を決意したら、迷わず歯列矯正するしかありません。
 とりあえず養成所に入って勉強を始めてみて、本気で声優になろうと思ったら歯列矯正しようかな、なんて悠長に構えていると、あっという間にタイムオーバーになってしまいます。
 高校生ぐらいだと、歯列矯正も短期間で終わります。程度によりますが、20代前半であれば、4年はかかりません。

 歯列異常は、あくまでも異常なんです。
 普通の人として生活するなら、問題がない障害ですが、プロ俳優を目指す上では致命的な障害であり欠陥なんですよ。
 確かに、声優の中には数人ほど歯列異常でありながらも、仕事ができるレベルでの滑舌をもっている人はいます。が、その領域に達するのは数十万人にひとり。あくまでも奇跡的な確率による希有な例にすぎないんです。
 声優志望者全般に言える問題点は「可能性さえあれば……」と現実に目をつむる傾向があることです。
 「そんな養成所に行っても無意味だよ」
 「でも、可能性がまるっきりないわけじゃないし……」
 「その歯並びじゃ、矯正をするしかないよ」
 「でも、可能性がまるっきりないわけじゃないし……」
 声優志望者のうち、声優になれる確率は0.01%です。勇気があるというか、挑戦心がなければ、0.01%に賭けてみようとはしないでしょうね。それはわかるんです。
 でも、養成所に行きさえすれば声優になれる確率0.01%じゃないんですよ。
 養成所において発声・滑舌・解釈力といった基礎をしっかりと備えた上で、その基礎を土台とした表現がせめて養成所トップにならなければ、0.01%の確率さえ手に入れることはできないのです。
 なによりも大事なことは、声優になるための勉強を始めたのであれば、せめて、可能性0.001%でも上げるべく、できる限りの努力をすること。
 歯列異常を原因とする言えない滑舌、言えていない滑舌がある限り、ゼーッッッタイに声優にはなれません。
 その原因が練習不足にあるのであれば、トコトン練習をすればいい。でも、その原因が歯列異常にあったなら、どれだけ練習をしたとしても無駄なんです。だって、構造的に美しい発音が不可能。だから、歯列“異常”というんです。
 歯列異常を矯正せずに克服した声優がいるといっても、その確率は志望者ベースにして0.001%以下。99.999%以上の歯列異常者は消え去るしかないのが現実。これ、宝くじ3億円に当たる確率よりも低いというのを忘れないでください。
 声優になれる確率、0.01%と0.001%、より高いのはどちらですか? 小学生でもわかる「算数の問題」でしかありませんよ。

 それでも、まだ、歯列異常だったら矯正でどうにかなるんだから、いいじゃありませんか。視覚障碍などの身体障碍に至っては、手術や矯正をしても絶対に無理なんですよ。
 私は、実際に「かなりの弱視で盲学校に通っているのですが、声優になれますか?」という相談を受けたことがあります。
 どんな努力をしても無駄だと言わねばならぬ気持ちを、みなさんは考えたことがありますか? というよりも、みなさんが人間の心を演ずる俳優を目指しているというなら、私の気持ちを想像してみてください。
 また、そういう経験を持つ身として、矯正すれば済むだけのことを何度も何度も答えねばならない苦々しさというのも想像してみてください。

 そして、シメはいつものとおり‥‥‥
 当hpの主旨は「さあ、声優になろうぜ、レッツトライ!」ではありません。諦められる人には諦めて欲しいと真剣に思っています。
 矯正に踏み切れない人は、養成所に行く前に諦めた方がいいよ、マジで。
 これは養成所に通っている矯正予備軍も同じ。養成所入学と同時に矯正を始められないんだったら、入学前に諦めたほうがいい。
 お金と時間を無駄にするだけだから‥‥‥

(オマケ)
 このコーナーのアップに伴い、今後、私は矯正関連についての回答を原則としてお断りします。
 ってゆーかさぁ、今回、矯正関連のサイトを調べたら、凄くタメになるところがあんなにいっぱいあったんだよ。
 みんな、どうやって、うちのサイトにたどり着いたの? インターネットでしょ? 私だってインターネットだけで、あれだけのサイトを調べられたんだよ。正味1時間もかかってないぞ。自分のことなんだから、自分でも調べてちょうだいよ、もう(とほほ)。